遺言の保管
遺言は書面で書くことになっていますが、遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。 発見してもらえなければ、折角作成した遺言は何の効力も発揮しません。 |
従って、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり、改ざんされる心配の無い場所に保管しておく必要があります。
一般的に遺言は以下のような場所に保管されているケースが多いのです。
公正証書遺言の場合
公正証書による遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管されています。
ですから、相続人らに遺言書を作成して、公証役場の場所を伝えておけば十分です。
遺言書の存在が明らかになっても、相続人らが公証役場を訪れて遺言書の内容を教えて欲しいと要求したり、閲覧を請求したりしても、公証人がこれに応じることはありません。
国家資格者に依頼する場合
遺言書作成の際にアドバイスを受けた司法書士・弁護士に保管を頼むという方法があります。
司法書士・弁護士は守秘義務を負っており、職務上知りえた事実を第三者に洩らすことは禁止されています。
従って、遺言書の存在すらも秘密にしておくことが可能です。
第三者に頼む場合
自筆証書遺言の場合、親族等に預けることもあります。
しかし、法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には、隠匿、改ざんの恐れがあり、被相続人の死亡後、紛争のタネとなりかねませんので、なるべく遺産に何の利害関係がない公正な第三者に保管してもらうようにしてください。
※また、信託銀行へ「遺言の保管・執行」を依頼することも可能ですが、各士業事務所と提供するサービスは同じでも、料金が100万円を超えて非常に高価な場合が多いのです。
自筆証書遺言書保管制度
遺言者は、遺言書保管所(法務局)に対して、自身の自筆証書遺言に係る遺言書の保管の申請を行い、遺言書を預けることができます。
遺言書は、原本に加え、画像データとしても法務局に長期間適正に管理されます。(原本:遺言者死亡後50年間、画像データ:同150年間)
そのため、遺言書の紛失・亡失のおそれがありません。相続人等の利害関係者による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことができます。